2021年5月25日(火)より、千葉県の国立歴史民俗博物館で特集展示「紀州徳川家伝来の楽器-こと-」が開催されています。
この展示は、「こと」と平仮名になっているところがポイント!
今でこそ「こと」と聞くと、13弦のお箏を連想すると思いますが、古くは日本で「こと」と言えば、弦楽器全般を指していました。江戸時代の国学者藤井高尚は、『弾物のさだめ』という著書で、「こと」に三味線や琵琶も含めて著述しています。そして、この特集展示でも、「こと」という名の下、さまざまな琴・箏類が展示されています。
ちなみに、漢字の用法は、箏は胴に箏柱を立てて音高を調節するタイプ、琴は琴柱がなく、左手の指で弦を直接押さえて音高を調節するタイプの楽器を指すことになっています。
今回は、広い歴博の中でも近世の展示室の奥の一部屋が特集展示に使われています。
展示されている琴・箏類は、下記のとおり。
- 瑟(25弦の古代中国発祥の箏)
- 七弦琴(孔子も弾いたといわれる7弦の琴)
- 板琴(在原業平が始めたといわれる1弦の琴)
- 和琴(日本古来の6弦の箏)
- 楽箏(雅楽の箏、現代の13弦の箏の起源)
その他、蒔絵や螺鈿、金銀が施された七弦琴の台や楽箏の爪、爪をしまう箱にも目を奪われます。楽器や附属品の美しい装飾も見どころの一つで、紀州のお殿様が集めた、まるで美術品のような楽器類を間近に見られます。
すべて歴博所蔵品だそうですが、それをまとめて見られる機会はなかなかありません。歴博は佐倉城址にある自然豊かな立地ですので、散策を兼ねて行ってみてはいかがでしょうか。
特集展示は、国立歴史民俗博物館第3展示室(近世)特集展示室にて2021年7月4日(日)まで。
一般600円、大学生250円、高校生以下無料。
館内は広いですが、ショートカットして第3展示室だけをピンポイントで見学することもできます。受付を通って第1展示室ではなく正面の扉を抜けて進むとショートカットできます。