映画「犬王」観てきました!

犬王フライヤーレポート

室町時代に実在した能楽師の犬王(いぬおう)。
観阿弥・世阿弥と同年代に生きて、人気を二分したとか。
残念ながら、私は名前も聞いたことがありませんでした。
対して、もうひとりの主人公は琵琶法師の友魚(ともな)。
こちらは架空の人物のようですが、実際にこんな傾奇者がひとりくらいはいたんじゃないかと感じました。

映画『犬王』

映画「犬王」は2022年5月28日より、全国の映画館で上映中です。

劇場アニメーション『犬王』 (inuoh-anime.com)

監督:湯浅政明(アニメ『映像研には手を出すな!』)
脚本:野木亜紀子(『アンナチュラル』)
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英(『あまちゃん』)
原作:古川日出男『平家物語 犬王の巻』

また、声の出演は、アヴちゃん(女王蜂)、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊(敬称略)など、たいへん豪華です。

室町時代の野外フェス⁉

映画を観ようと思ったきっかけは、琵琶が登場するからということでした。
また、この間までTV放送されていたアニメ「平家物語」と原作者が同じであるということでした。
原作の『平家物語 犬王の巻』はこれから読む予定です。
(先に読んでおけばよかったと少し後悔しています)
私は、映画館で鑑賞することがほとんどないので、10年ぶりくらいに映画館へ行きました。
それほど、観てみたいと心を動かされた映画だったということです。

まだ観れていない方もいるため、ネタバレしてしまうと残念なので、多くは語れませんが、琵琶法師の友魚役の森山未來さんや犬王役のアヴちゃんの歌声に圧倒されたことは言うまでもありません。
犬王たちが作り上げる舞台は、さながら現代の野外フェスであり、世界的なロックスターを連想させました。
劇中では、ウッドベースのような琵琶も登場し、実在すればどんな音がするのかとても興味深いです。
琵琶の音楽を監修した後藤幸浩さんのインタビューには、「筑前琵琶の流派のなかで戦前の一時期、超大型琵琶や超小型琵琶があった」とありました。
今でもどこかで残っていればいいのに。

平家物語の作者に関しては、いまだいろいろな説がありますが、源平合戦にまつわるさまざまな物語を集める作業が全国を語り歩く琵琶法師によって行われていたのだろうかと、考えさせられる内容もありました。
また、法要のシーンでの大合奏も圧巻で、もし今も行われているなら、ぜひ見てみたいものです。

一方、犬王の魅力は、人々を圧倒する歌声と舞い(パフォーマンス)。
私の知っている能は、謡と舞が難しく、時に眠たくなってしまいますが、犬王のものは華やかで仕掛け舞台もあり、現代の歌舞伎に似ているなと思いました。

また、伝統を重んじる重鎮たちと観客の心を惹きつけ新しいものを求める犬王と友魚たちは、現代の先駆者と同じであるように描かれていました。

おまけ

映画館へ入る前に、「入場者プレゼントです」と小冊子を渡されました。
『幕間「犬王と友一」』

犬王

鑑賞後にホームページで確認すると、第二弾入場者プレゼントで、本編では描かれなかった“幕間”の物語を脚本の野木亜紀子さんが書き下ろしされたものです。
第三弾、第四弾のプレゼント配布もあるようです。

この記事を書いた人
なる

徳島邦楽集団 代表
箏と琵琶、ときどき三味線を演奏してます。
街中を邦楽の音楽であふれさせたいという野望をもっています。ドローン練習中。

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