歌舞伎と落語のコラボ《仮名手本忠臣蔵》− 令和4年11月国立劇場歌舞伎公演

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国立劇場さよなら公演の2022年11月歌舞伎は《仮名手本忠臣蔵》です。元禄時代に起こった赤穂浪士の敵討ちの実話を脚色した名作ですが、今回は、長大なお話の中から勘平とおかるの物語を中心に上演されます。また、特別企画「歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵」として、歌舞伎上演に先立ち、忠臣蔵にまつわる落語が語られます。歌舞伎と落語の両方を楽しめる珍しい企画ですね。

歌舞伎《仮名手本忠臣蔵》とは

《仮名手本忠臣蔵》は、赤穂藩主の浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が、旗本の吉良上野介(きらこうづのすけ)に江戸城内で切りつけて切腹になった事件と、家臣であった赤穂浪士四十七士が敵討ちを成功させた史実をベースにしています。作品では、序盤で事件の顛末を描き、切腹は免れない討入りのために奔走する浪士たち、恋人や家族それぞれの人間模様が重層的に表現されています。

本作品は、もともと人形浄瑠璃で上演され、のちに歌舞伎に移されました。十一段に渡る長い構成になっており、通常はそのうちの数段を抜粋で上演します。

また、作品中の登場人物は、すべて別名に変えられています。例えば、浅野内匠頭は塩冶判官(えんやはんがん)、吉良上野介は高師直(こうのもろのう)、四十七士を率いた家老大石内蔵助(おおいしくらのすけ)は大星由良助(おおぼしゆらのすけ)です。

国立劇場11月公演《仮名手本忠臣蔵》五段目・六段目

今回、上演されるのは五段目と六段目で、敵討ちの四十七士の一人、早野勘平を中心に物語が展開します。

勘平は、刃傷事件の際に恋人のおかると会っていたため、仇討ちに名を連ねることができませんでした。悔やみながら暮らすうち、同志となるためには軍資金を用意する必要があることが分かります。そのためにおかるの父親がおかるを京都の遊女屋へ売るのですが、その金を、勘平が事情を知らずに手に入れてしまい、周囲に責められます。さらに、おかると駆け落ちした勘平の金は受け取れないという大星由良助からの伝言を聞き、勘平は絶望で腹を切ります。

上演はここまでですが、先が気になりますよね。七段目では、おかると大星由良助が京都の茶屋で出会い、密書をめぐるやりとりの末、おかるの兄が勘平の代わりに討ち入りに加わることになります。

落語《殿中でござる》《中村仲蔵》

今回、歌舞伎とコラボで上演される落語は、五段目に登場する斧定九郎の役作りに苦労した歌舞伎役者中村仲蔵の逸話を題材にした《中村仲蔵》と、浅野内匠頭が切りつけた事件を題材にした《殿中でござる》の2席です。どちらも忠臣蔵を見る前に聞いておきたい内容ですね。

まとめ

歌舞伎の勘平は中村芝翫、落語は春風亭小朝が務めます。歌舞伎と落語の同時上演は史上初とのことですので、ぜひお見逃しなく。

こちらの記事では、お二方が今回の公演にかける思いを熱く語っています。

なお、夜公演は、落語は《中村仲蔵》の一席のみ、歌舞伎は五段目中途からで休憩なしと、コンパクトにまとめられています。お仕事帰りに歌舞伎と落語の両方を楽しめるとは、お得ですね!

11月歌舞伎公演(大劇場)“歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”

11月2日(水)~11月25日(金) 12時開演
※7日(月)・16日(水)・23日(水・祝)は休演
※17日(木)は貸切
夜公演は、10日(木)、18日(金)、24日(木)18時30分開演

公演の詳細は、国立劇場ホームページでご確認ください。
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/41110.html

ご予約は、国立劇場チケットセンターで受け付けています。
https://ticket.ntj.jac.go.jp/
Tel:0570(07)9900

この記事を書いた人
福まる

大学で日本音楽史と民族音楽学の非常勤講師をしています。最近、地元の資料館で古文書整理員を始めました。お箏と地歌三味線を少し弾きます。記事を書いて、邦楽の世界をもっとオープンにするお手伝いをしたいと思っています。

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