「おもしろ日本音楽史」のご紹介
音楽関係の本は、理論書や専門書が巷にあふれている。
そのなかから今回は、お気に入りのコーヒーを傍らに、肩を張らずに邦楽の世界を楽しめるこの一冊をご紹介。
「おもしろ日本音楽史」
著者は東京女子大学 史学科卒の経歴をもつ生田流箏曲家である釣谷真弓氏。
本書の「はじめに」には
演奏家ならではの感じ方、見方でもって日本音楽の歴史や人物を紹介していきます。かた苦しい歴史の教科書でなく、エピソード集として気軽に読んでいただきたいのです。
とある。
能、歌舞伎など幅広いジャンルにわたる全16章からなり、ウンチクが詰まっているにもかかわらず、やさしい語り口で、時にはユーモアを交えた文章で楽しく・興味深く読み進めることができた。
特に印象に残ったのは「第2章 世界最古のオーケストラ・管弦」。
なるほど、篳篥、笙、箏、楽太鼓など管弦打楽器のそろった演奏はまさにオーケストラ。
飛鳥時代の終わりに作られた大宝律令に、そのオーケストラ(雅楽)を管理する役所が制定されていたとは驚き。さらに、雅楽が装束や楽譜など現在まで大きく変わることなく千三百年も伝えられていると知ればまた驚いてしまう。
他にも、知っているようで知らない宮城道雄の生涯や、座頭市や水戸の黄門さままでもが登場する章もあり何とも面白い。
まさに「おもしろ日本音楽史」!
※残念ながら本書は絶版となっています。是非、図書館やオンラインショップで検索を!
同シリーズもおすすめ!
釣谷真弓著の「おもしろ日本音楽」シリーズは、この他全4冊刊行されている。(東京堂出版)
このシリーズの最新刊は『なんてったって邦楽 おもしろ日本音楽』。
これらもおすすめなので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
なんてったって邦楽 おもしろ日本音楽
邦楽のガイドブックとして優しく歴史から楽器までを解説。軽妙な語りで気楽に楽しく日本音楽について学べる内容となっている。主に「箏」「三味線」「尺八」について解説し、さらに学校教育の現場にも目を向け、現代邦楽の抱える問題にも触れる。(Amazonの書籍紹介文より引用)