6月6日は何の記念日?-稽古始めの日に新しいことを始めてみませんか

風姿花伝 稽古始め邦楽雑記

*写真は『花伝書(風姿花伝)』(講談社文庫より)

6月6日は何の記念日でしょうか。

伝統芸能では、6月6日は稽古始めの日とされてきました。そのため、現代では「邦楽の日」とされており、他にも「楽器の日」「いけばなの日」などとも定められています。

6が2つ並ぶ日なので、お稽古事以外にも、「補聴器の日」「梅の日」「ロールケーキの日」などバラエティーに富んだ記念日がありますよ。

6月6日は新しい和楽器を始めるのにふさわしい日ということなので、今回は、稽古始めの日の由来と邦楽の日についてお伝えしましょう。

稽古初めの日

(1) 世阿弥の論

和楽器や日本舞踊などの伝統芸能では、子どもが習い事を始めるのは6歳の6月6日が良いとされてきました。この由来は室町時代にさかのぼります。

能を大成した世阿弥は、その著書『花伝書(風姿花伝とも)』において、芸を始めるのは数え七歳(現代の6歳)が良いと述べています。

冒頭の写真がその部分です。「この芸において、大方(おおかた)七歳(しちさい)をもて初めとす」と記されています。

(2) 歌舞伎のセリフ

室町時代の世阿弥は能楽の芸について述べましたが、その後、江戸時代になると歌舞伎が流行し、世阿弥の論が形を変えて広まったようです。

江戸時代になり、歌舞伎で「6歳の6月6日…」という言い回しが使われるようになり、6歳6か月の6月6日が良いという説が広まりました。

歌舞伎のどの演目でそのセリフが使われたのかはっきりしませんが、江戸時代には皆がよく聞くセリフだったのかもしれません。

こうしてみると、6月6日という日付に特に理由はないようですね。でも、6並びにすることで縁起を担いでいるように思えます。

(3) 指の形

指の形が由来という説もあります。

指を折って1から順に数えていくと、6のときに小指を立てることになります。「子が立つ」から、子どもが自立する、つまり、習い事を始めるのに良いとされました。

これは言葉遊びから生まれた説ですが、背景には6歳ごろに始めるのが子どもにとってちょうど良いという発想があったのだと思われます。

*(1)~(3)の説については、駒沢女子大学の千葉公慈先生の記事を参考にさせていただきました。https://www.komajo.ac.jp/uni/window/japanese/ja_column_20120614.html

邦楽の日

続いて、邦楽の日をご紹介しましょう。

邦楽の日は、1985年に東京邦楽器商組合(現在の東京邦楽器商工業協同組合)が制定しました。その理由は、古来より6歳6月6日が手習いを始める日とされていて、三味線や箏を習い始める子どもが多かったからだそうです。

*邦楽の日の制定については、東京邦楽器商工業協同組合の記事を参照させていただきました。
https://www.tokyochuokai.or.jp/jiyoho/kinenbi/k_hogaku.html

邦楽の日のイベント

徳島県では、毎年、邦楽の日にちなみ、「こども邦楽記念演奏会」が開催されています。
2022年は第31回を迎え、6月11日(土)12時よりあわぎんホールにて開催予定です。

また、2022年6月に開催される邦楽のイベントとして、東京では6月25日(土)及び26日(日)に(一社)日本和楽器普及協会による和楽器展示会も予定されています。

まとめ

今回、邦楽の日と稽古始めの日についてお伝えしました。
徳島県と東京都のイベントもご紹介しましたが、邦楽の日に関連したイベントは各地で開催されるかもしれません。

6月は新学期が始まって少し落ち着いてきた時期ですから、何か新しいことを始めるにはちょうど良いでしょう。梅雨で出掛けられない時には家でお稽古事に励むのもおすすめです。
この6月は、新しい和楽器に挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
福まる

大学で日本音楽史と民族音楽学の非常勤講師をしています。最近、地元の資料館で古文書整理員を始めました。お箏と地歌三味線を少し弾きます。記事を書いて、邦楽の世界をもっとオープンにするお手伝いをしたいと思っています。

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