浜松市楽器博物館<企画展>琵琶〜こころとかたちの物語〜

おすすめ紹介

今回は、千数百年の長い歴史を持つ日本の伝統楽器、琵琶の展示をご紹介したいと思います。

静岡県の浜松市楽器博物館では、企画展「琵琶〜こころとかたちの物語〜」が開催されています。
開催期間は2021年7月31日~12月7日。もう始まっていますね。

企画展の展示内容

実はまだ見に行っていないので、詳しい展示内容はお伝えできないのですが、チラシはこのように書かれています。

”琵琶の歴史や文化を、楽器と共に紹介。工房で取材した製作の記録や、第一線で活躍する奏者らの貴重な声から、琵琶の魅力を探ります。”

ということは、琵琶の歴史や楽器については学べそうですね。それから、「製作の記録」があるというのは面白そう。普段、楽器製作の現場を見る機会はありませんから、木をくり抜いて糸巻を付けて、糸を張ってという過程が見られたらわくわくします。
このほか、『博物館だより』には、楽琵琶(雅楽の琵琶)、平家琵琶、盲僧琵琶、筑前琵琶、薩摩琵琶の写真が掲載されていますので、展示で見比べることができるのでしょう。形の違い、装飾の様子などを間近で見れば、きっと心に刻まれる経験になると思います。

琵琶の種類と系譜

浜松市楽器博物館<企画展>琵琶〜こころとかたちの物語〜 浜松市楽器博物館だより No.135表紙

『浜松市楽器博物館だより No.135表紙より

日本の伝統楽器はいろいろありますが、長い間に幾つもの種目に発展し、楽器も変化を遂げたという点では、とても興味深い楽器の一つです。他にも、箏や三味線、尺八など、種目や流派によって工夫が加えられている楽器はありますが、琵琶の場合は、より長い時間をかけて大きな変化があったように思います。
ですので、ここで少しだけ、琵琶の歴史と種類を先取り学習してみましょう。

琵琶は、長い歴史の中で、楽器に工夫が重ねられ、幾通りもの琵琶の音楽種目が生まれました。日本でいちばん古い琵琶の種目は、雅楽で使われている琵琶。そこから派生して、平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶などが生まれました。

写真を見ると、ひと口に琵琶と言っても種類によって細部に違いがあります。日本の琵琶の起源となる楽器は、はるかシルクロードを通ってやって来たと考えられており、奈良の正倉院には装飾の美しい琵琶が残されています。

日本に定着した琵琶の最初は雅楽で使われる楽琵琶であり、そこから平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶という順序で、それぞれのジャンルに合うように改良が加えられたというのが最新の説です。
最新とわざわざ断ったのは、以前は、盲僧琵琶は雅楽とは違う系統で、薩摩琵琶はより古くからあるという説もあったからです。琵琶は歴史が長いので、起源がどうだったのか、古文書を紐解いて詳しく検討しなければ、真相を突き止めるのは難しかったのでしょう。

企画展の関連イベント

『浜松市楽器博物館だより』No.135

今回の企画展には、関連イベントがたくさんあります。8月から10月を中心に、12月までさまざまな催しが予定されているので、関連イベントに合わせて展示を見に行くプランを立てるのも良さそうです。

レクチャーコンサート 第202回「つくり、奏でる 薩摩琵琶のものがたり」

  • 8月7日(土)開演18:30 一般2,000円 学生1,000円
  • 出演:石田克佳(琵琶製作家・薩摩琵琶正派演奏家)
  • 完売しています。当日券はありません。

ミニコンサート 音楽の広場「こころで味わう近代琵琶のしらべ」

  • 筑前琵琶:8月23日(月)、12月5日(日)
  • 薩摩琵琶:9月12日(日)、9月19日(日)、10月16日(土)、10月30日(土)、11月13日(土)
  • 各回11:00~/14:00~
  • 出演:浜松琵琶楽協会

ミュージアムサロンコンサート「琵琶とたどる東西の旅」

  • 8月15日(日)西アジア ウード
  • 8月22日(日)ヨーロッパ リュート
  • 各回14:00~/15:00~
  • 出演:常味裕司(ウード)、佐野健二(リュート)

体験型プログラム びわ~くしょっぷ

「色々な琵琶をさわってみよう」

  • 8月13日(金)、10月9日(土)
  • 各回11:30~/14:00~
  • 講師:大橋守(琵琶製作家・薩摩琵琶正派演奏家)

「琵琶を弾いてみよう」

  • 8月14日(土)、9月26日(日)、10月17日(日)、11月27日(土)
  • 各回10:30~/13:30~/15:00~
  • 講師:浜松琵琶協会

浜松市鴨江アートセンター×浜松市楽器博物館 コラボレーションワークショップ

  • 10月3日(日)13:00~15:00
  • 参加費:500円(申込は8月15日~)
  • 会場:浜松市鴨江アートセンター

※博物館だより135号に基づいて記載しています。
新型コロナウィルス感染拡大防止対策などで予定が変更となる場合も考えられます。お出かけの際は、博物館の公式ホームページなどで必ず最新情報をご確認ください。

この記事を書いた人
福まる

大学で日本音楽史と民族音楽学の非常勤講師をしています。最近、地元の資料館で古文書整理員を始めました。お箏と地歌三味線を少し弾きます。記事を書いて、邦楽の世界をもっとオープンにするお手伝いをしたいと思っています。

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