こんにちは。千代之音の髙附です。
私たちは和楽器の楽曲・譜面オンライン販売サイト「千代之音」の運営を行っておりますが、和軸さんのコラボレーターとしても活動させていただいております。
その活動の一貫として以前、千代之音主催で和軸さんのコラボレーターの方々との意見交換会を行わせていただきました。
会の目的は、コラボレーターとしてお互いの意見を交換することで交流を深め、お互いの邦楽に関する考えを共有することで、それぞれの活動に活かしていこう、というものです。
結果、皆様から色々なことを多く教えていただき、かつ活発な議論ができとても良い時間になりました。
交換会ではいくつかのテーマについて議論しましたが、その中の「邦楽界の課題とは何か」という議題についての内容と、それに対しての私の意見を合わせて皆様に共有したいと思います。
邦楽界の課題について
かなりざっくりとしたテーマで、一言で「課題」といっても多岐にわたるのですが、コラボレーターの皆様の意見をまとめると、主に3つの内容に分けられました。
- 和楽器のPR不足
- 和楽器を始めにくい環境にある
- 楽器の材料不足
まず「PR不足」についてですが、邦楽を知る機会が少ないという意見がありました。
実際、楽器を触ったことがないどころか箏と三味線の音の違いが判らない方もいらっしゃるそうです。
私は小学校の音楽の授業で箏を弾く時間があったので、和楽器を始める前になんとなく知ってはいたのですが、そういった経験が無いと和楽器に触れる機会はそう多くはないでしょう。
ただ、興味深い意見として「触れる機会が少ないだけで興味がある方は結構いるのでは」といったものがありました。
和軸さんが関わった徳島県の芸術派遣事業では子供たちが和楽器の体験をできる機会があったのですが、そちらにはなんと90人の子供たちが応募されたそうです。
決して魅力が少ないのではなく、そういった和楽器に触れ合える機会というのがまだまだ足りていないというのがやはり大きな課題かと思います。
ただ、そこで和楽器に触れても今度は「和楽器を始めにくい」という壁があります。
教室などの情報も簡単に手に入れることができないと、和楽器を始めてみようとなるのが難しいのでは、といった意見がありました。
また、和楽器自体も決して安くはないので、価格でためらったり、購入するとしても楽器屋さんの情報が手に入りにくいこともあり、始めるハードルはかなり高くなっています。
加えて定期的にメンテナンスが必要な楽器が多いため、そのメンテナンスの手間もまた1つハードルになっております。
楽器の問題には、「素材不足」といった課題も関わってきます。
和楽器に使われている素材が入手困難になる、あるいは価格が上がっている状況下で、楽器を製作されている方々への負担も増えてきています。
その結果、和楽器屋さんの数も年々減少してきており、先程述べた和楽器を始めにくい状況につながってきています。
邦楽界の課題を大きく3つに分けましたが、その課題がそれぞれ相互に作用しており、一筋縄で解決する話ではないでしょう。
ただ逆に言えば良い影響も相互に作用するのでは、という風に私たちは思います。
例えば、未経験者に邦楽に触れる機会を増やすイベントを行ったとき、そこで止めるのではなく、参加者に教室や楽器屋さんを紹介するとどうでしょうか。
全員が和楽器を始めるというのは難しいかと思いますが、それでも1つのイベントで終わらせるのではなく、その方々が始めやすい機会を提供することで、イベントだけで終わらせるよりもより大きな効果が期待できます。
和楽器の素材についても最近では、価格を抑えてかつメンテナンスが不要な初心者用・練習用の和楽器も出ており、少しずつ敷居は下がってきています。そういった楽器を和楽器イベントに来た方に対して紹介してみるのは良いかもしれません。
重要なことは邦楽活動に携わる方々が互いに連携し、相乗効果を生むことかと思います。
先述した通り、邦楽は潜在的に興味のある方が多く、大きな可能性を含んでいると考えております。
数年数十年という単位ではなく、数百年という単位で日本に受け継がれてきた文化であり、時に形を変えつつも長い歴史を紡いできた実績があるのです。
そこで現代に生まれ、和楽器に関わる活動を行っている私たちに課せられた使命はその文化を次に繋ぐことだと思っております。
どうしても様々な要因で業界全体が縮小している印象はありますが、私たちの活動次第では拡大すると確信しています。
その活動の鍵をにぎるのがお互いの事業の相互連携なのではないのでしょうか。
少なくとも独立して活動するよりも大きな効果が生まれると思います。
今回和軸さんのコラボレーターとして交流会を企画させていただき、邦楽の課題以外についても「コラボレーターとしてのコラボの形」や「邦楽界の継続のために必要なこと」など様々な内容について意見の交換を行いましたが、とても有意義な時間でした。
そして今後は意見交換だけではなく、色々な場面で邦楽に携わる方々と交流させていただくことで、この輪をより大きくしていきたいと改めて感じました。
より一層コラボレーター同士で連携しながら、相乗効果を生む活動を行いたいと考えておりますので私たちの活動を見守っていただければと思います!
また、もし和楽器に関わる活動をしている方や、あるいは個人でも邦楽を広める活動を行いたい方などいらっしゃいましたら、一緒に何かに取り組めたらと思いますのでぜひ和軸さん(master@wagic.net)までご連絡いただければ幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!